世界で唯一の超音速旅客機「コンコルド」時間をお金で買う人たちが利用していました。しかし、エコノミークラス並みの狭さと、アナログ機器の期待は、淘汰していかざるを得なかったのでしょう。エールフランス機の事故、アメリカでの同時多発テロ、そして原油価格（航空燃料のケロシン）の上昇と不運が重なったコンコルド。永遠なれ・・・
西暦２０００年８月１０日。ロンドンにあるホテルをチェックアウトして、パディントン駅からヒースローエクスプレスに乗ってヒースロー空港へ向かいました。７月２５日にエールフランスのコンコルドが墜落したのが記憶に新しかったです。そして、この日をさかいにエールフランスのコンコルドは全面運行中止になりました。
英国航空は大丈夫ということを言っていましたが、正直飛んでいるかどうか不安でした。でも、空港へ着くと掲示板に「ＢＡ１便１０時発ニューヨーク行き」という表示があって安心しました。
チェックインはコンコルド専用のカウンターで行いました。そこですぐにチェックインができました。
出国も「ファストトラック」を通ってすぐにできました。ラウンジはファーストクラスラウンジに案内されました。
しばらく休憩するといよいよボーディングになりました。でも、ラウンジから出るのではなく、ラウンジから直接階段を降りました。するともうコンコルドのドアのそばに着きました。
中に入ってみるとけっこう狭く天井も低かったです。シートは２列２列になっていました。シートピッチはエコノミーよりも少し広いくらいでした。そして、窓ははがきくらいの大きさで小さかったです。座席のライトは、上のスイッチを自分で押すタイプでした。だからある意味時代遅れのような機体でした。
いよいよ出発になりました。機内安全の説明もビデオではなく、アテンダントが実演して見せました。つまり、モニターやスクリーンもないわけです。
コンコルドは止まることなく滑走路へ向かいました。どうやら最優先で滑走路へ誘導されるみたいでした。そしてすぐに離陸しました。このときにもアフターバーナーを出しているから、かなりの加速感がありました。
でも、離陸してもまだ音速には達さずに飛びます。大陸内は衝撃波の影響などで音速を超えてはいけないからです。
そのうちに海に出たようで速度が増していきました。スクリーンはないけど高度と速度の表示はあるから分かるのです。
そのときにもアフターバーナーを出しているけど全然気づきませんでした。そしていつの間にか音速を超えて、「マッハ２」に達しました。
するといよいよ機内サービスが始まりました。飲み物のサービスから始まり食事も普段食べられないような豪華なものが出ました。シャンパンやワインなどは味をよく知らないので、これが最高級なんだろうなあと思いながら飲みました。食事も同様です。
窓をさわるとけっこう熱かったです。どうやら空気の摩擦によるものだそうです。聞いた話ですが最前部は摂氏１００度以上になるらしいです。宇宙船の大気圏突入がすごい熱すごいことがよくわかりました。
窓から外を見ると雲がはるか下のほうに広がっていました。高度は１８０００ｍでした。成層圏の手前まで来ているのか、空は地上とはまた違った青色でした。
食事が終わると機内をうろうろしました。コクピットにも行けました。コクピットへ行って搭乗の記念のサインをもらいました。コクピットには３人がいました。パイロット・コパイロット・航海士の３人です。昔のジャンボジェットと同じです。（今は航海士はいなくて２人で操縦しています。）計器を見るとほとんどがアナログでした。サインをもらって少し話をして席に戻りました。
トイレにも行ってみましたが、昔の青い水が出るタイプでした。今みたいなバキュームタイプではありませんでした。。
ちなみに乗客は定員の半分も乗っていませんでした。エールフランスの事故の影響だからだと思います。でも日本人が他に２人もいました。
そして、あっという間にコンコルドは高度を落とし始めました。ロンドンを出発して３時間半後の午前９時３０分（ニューヨーク時間）にコンコルドはニューヨークＪＦＫ空港へ着陸しました。
コンコルドに別れをつげて降りました。
驚いたのは入国がスムースだったのと荷物がすぐに出てきたことでした。たぶん１０分も待っていないと思います。さすが時間をお金で買うことだけのことはあると思いました。
このあとの８月１５日に英国航空のコンコルドも運行停止になりました。だからほんとうに貴重な体験でした。
しばらくして運行が再開されたけれど、結局コンコルドは廃止してしまいました。
今、日本なども加わって音速を超える旅客機の開発をしているけど、できれば復活してほしいと思います。そしてまた大空を怪鳥のように飛んでほしいと願っています。
コンコルドよ・・・永遠に。
