日本は島国なので、国際列車はありませんが、海外にはたくさんあります。陸地で国境を接しているので当然ですね。その中でも珍しい国際列車があるので紹介します。ペルーとチリの間を走る世界で一番短いとも言われる国際列車です。しかも、車両は1両です。
ペルーの「タクナ」とチリの「アリカ」の間に国際列車が走っています。トーマスクックの「オーバーシーズタイムテーブル」に乗っていました。本数は1日2往復で、何と1両のディーゼルカーでの運行なのです。ただ、ペルーの方に聞いても「知らない・・・」という答えしか返ってこないので実際に行ってみることにしました。
この「タクナ」と「アリカ」の国境はけっこう有名です。国境越えコレクティーボで行き来できるからです。ぼくはリマから飛行機でタクナまで行きました。
空港からタクナ市街まではタクシーで4ドルで行けました。
夜に着いたのでとりあえずセントロで安いところをお願いしました。連れて行ってくれたホテルは駅から5分くらいのところでした。
料金は60ペソ(約20ドル)で、バス・トイレ付でした。駅までは静かな通りをまっすぐ進め着くことがわかりました。
そして、ホテルから反対側へ少し歩くとタクナのにぎやかな所へ出ました。カジノ、レストラン、そしてカテドラルがありました。
どうやらタクナは「歴史地区」にもなっているようでした。
列車は早朝4時45分に出ます。
4時過ぎにチェックアウトをして駅へ向かおうとすると「危険だ。」と言われました。たしかにそう思いました。
でも、自己責任で小走りに駅へ向かいました。
駅は開いていて中には十数人の人がいました。切符を買うと7ソル(200円強)でした。
さらにここで出国手続きもします。
スタンプを押してもらって列車に乗りました。ですので一応定員制です。予約はできるようですがぎりぎりに来ると乗れません。
暗いホームの中に1両のディーゼルカーが停まっていました。座席番号はありますが自由に座っていました。
しばらく待つとエンジンがかかりました。
4時45分を少し過ぎて列車はタクナを出発しました。しばらくは路面電車のように道路の中を走っていきます。そして町外れへ出ると道路に平行にレールが続きます。それでもしばらく走ると国境越えの道路を離れていき砂漠の中をひた走ります。
このころようやく夜も開けてきました。
列車は時速60kmくらいで走り続けます。古いタイプの車両なのでバスのように「ギヤ」がついていました。
レールは風のせいで少し砂がかかっていましたが、列車は気にせずに走っていきます。
それぞれの駅で出入国をするので国境あたりで停車することはありません。というか、国境がどこかもわかりませんでした。
遠くに見える道路のあたりに国境ゲートらしい建物があったのでおそらくそこが国境だと思いました。
およそ1時間ほど走ると周辺に建物が見え始めました。アリカの町へ入ったのでしょう。
7時15分(この時期ペルーとチリには2時間の時差があります。)に列車はアリカに着きました。順番に並び入国審査をしました。チケットに番号が書かれていたのはこのためかもしれません。手続きは簡単でした。
こうして世界で一番短い国境の鉄道の旅は終わりました。
ちなみにホテルにチェックインして駅に行ってみると「8時発の列車にはもう乗れない。」と言われました。何となく飛行機のチェックインが1時間前に締め切られるのに似ていました。
この列車の旅の利点は、町の中心に駅があること、値段が安いこと、出入国は駅でしてくれることなどです。それと「不定期運行」ではなく毎日走っています。(週末は時刻が変更になります。)
みなさんもこの国境を通るときは一度乗ってみてはいかがですか?